ペットフードの添加物:ビタミンB1(チアミン)について。欠乏するとブドウ糖をエネルギーに変えられなくなる

ビタミンB1とは

ビタミンB1(VB1)の化学名はチアミン(Thiamine)といいます。水溶性ビタミンで、ビタミンの中で最も早く発見されたビタミンです。

チアミンはアルカリ性の条件下では不安定で熱に弱いため、水に溶け出したり、加熱調理に弱いという特徴があります。このため脂溶性の官能基をチアミンにプラスすることで消化管吸収を高めたビタミンB1誘導体も合成されています。

ビタミンB1は基本的にリン酸と結合しており、リン酸ひとつと結合したチアミンモノリン酸、ふたつと結合したチアミンジリン酸、みっつと結合したチアミントリリン酸があります。

ブドウ糖をエネルギーに変換する。ビタミンB1欠乏症は?

ブドウ糖をエネルギーに変換する際に必要なため、エネルギーと密接に関係しています。

もし欠乏するとエネルギーを作れなくなり、食欲不振やエネルギー不足にまつわる症状が現れます。脳にもエネルギーが回らず、脳神経に障害が起こることもあります。酷いと人の場合で脚気(かっけ)などが起こります。

余分なビタミンは尿から排出されるため経口摂取での過剰症は言われていません。

ビタミンB1を含む食品

ビタミンといえば豚肉です。その他にはうなぎやたらこ、大豆、ごま、玄米、あずきなどがあります。

犬が食べれるものとなると豚肉や大豆、ごま、玄米ご飯など、猫の場合は豚肉、ごまなどがおすすめです。

ただ豚肉は火を通さなくてはいけないので、損失が大きい点が弱点でもあります。

ビタミンB1を添加する時は何を足す?

ビタミンB1(VB1)は食品添加物として許可しているもの、飼料添加物をして許可されているものがあり、それぞれ種類がいくつかあります。

食品添加物として許可されているもの

  • ビタミンB1塩酸塩(チアミン塩酸塩)
  • チアミン硝酸塩
  • チアミンラウリル硫酸塩
  • チアミンセチル硫酸塩
  • チアミンチオシアン酸塩
  • チアミンナフタレン-1
  • 5-ジスルホン酸塩
  • ジベンゾイルチアミン
  • ジベンゾイルチアミン塩酸塩
  • ビスベンチアミン

飼料添加物として許可されているもの

  • 塩酸チアミン
  • 硝酸チアミン
  • 塩酸ジベンゾイルチアミン

医薬品として用いられているもの

  • オクトチアミン
  • ジセチアミン
  • チアミンジスルフィド
  • ビスベンチアミン
  • フルスルチアミン
  • プロスルチアミン
  • ベンフォチアミン

参考:ビタミンB1について JFRL

代表的なビタミンB1添加物

ビタミンB1塩酸塩(チアミン塩酸塩)

チアミン塩酸塩はビタミンB1誘導体です。誘導体とはひとつの化合物の一部を変化させて得られる化合物のことで、今回の場合はチアミン(ビタミンB1)の一部を変化させて得られる化合物がチアミン塩酸塩ということです。

乾燥していれば熱に安定していますが、水に溶けやすく、アルカリ性の条件下では不安定です。反対に酸性下では比較的安定しています。

このためドライフードなど添加後に加熱する食品の添加物には向いていませんが、フレッシュフードで加熱後に混ぜることができるものなどであれば使いやすい食品添加物です。

チアミン硝酸塩

チアミン硝酸塩は塩酸塩よりも吸湿性が低く水に溶けにくい特徴があります。そのため安定性が高く、関節・神経痛などの緩和など薬で使用されています。

チアミンラウリル硫酸塩

ビタミンB1誘導体ですが、防腐効果が高久、ビタミン強化の他に日持ち向上剤としてよく使われます。その特性を生かして梅干しやたくあん、漬け物、醤油、餡などに使用されます。

ビタミンB1の添加は毒?

ビタミンB1の添加が毒だという記事も見られますが、それは添加している量があまりにも大きいと言えます。

以下の通りなんと1%ものチアミン酸塩酸塩を含む食事を30日間食べ続けて悪影響がなかったと結論付けています。

ビタミンB1の大量投与による悪影響として~中略~チアミン500mg/日の筋肉注射により掻痒感を訴える症例が報告されており、989人へのチアミン塩酸塩100mgの静脈注射により11人が灼熱感を、1人が掻痒感を訴える症例も報告されている。~中略~しかし経口投与特におけるビタミン Blの大量投与時の報告は見当たらない。

1.0%チアミン塩酸塩食を摂取したラットにはチアミン塩酸塩摂取による悪影響は認められなかったことから、本研究におけるチアミン塩酸塩のNOAELを1.0%混餌食とした。 ラットの体重当たりに換算すると、体重200gのラットが1.0%のチアミン塩酸塩を含む食餌を1日に約18g摂取したことから、ラットにおけるチアミン塩酸塩のNOAELは900mg/kg 体重/日程度となった。

参考:ビタミンB1あるいはビタミンB2の大量摂取が幼若ラットの成長と水溶性ビタミン排出量におよぼす影響

ビタミン添加量は非常にわずか

具体的にどの位の添加量だというのは原材料や配合量、内容物量などにも寄りますので全く無意味な話しかできませんが、例えば総合栄養食を作っていたら、ビタミンB1含有量がAAFCOの栄養基準に少し足りなかった。だからビタミンB1(100%)を添加しようという程度の場合、1食分では研究用の精密はかりでなければはかることも難しい、そよ風が吹けば消えるような量を添加します。

このため1食分で1%もの量を添加することは事実上不可能と言っていいと思います。

ビタミンB1の添加物は含有量10%といったものもある

上記のように大変少ない添加量となるため、余りにも少なくて逆に添加が難しい場合があります。

こうした場合にはビタミン以外にデキストリンを混ぜて量を増やして添加しやすくする場合もあります。例えばチアミンラウリル硫酸塩:10%、デキストリン:90%という具合です。

この場合、ビタミンB1含有量は大体10%位になりますので、ビタミンB1が100%の添加物と比べれば10倍添加することができ、食品製造上は入れやすく、混ぜやすいということがあります。

ただビタミンは総じて添加量が少ないので、全てがデキストリンが混ざっていれば、デキストリンの添加量が多いのでは?というまた違った気になる点もでてきます。

デキストリンは食品素材ですので特に問題はありませんし、実際には気にするほどではないのですが、このように一点だけを見ているとその他の問題が起こったりします。

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