ペットフードの酸化について。開封後は封をすればほぼ酸化しない。気になる場合は小分けを。

酸化とは

酸化とは「物質が電子を失う化学反応」のことです。物質が酸素に触れることで、物質に変化が生じます。

例えば鉄(Fe)は酸化すると酸化鉄Ⅱ(FeO)酸化鉄Ⅱ、Ⅲ(Fe3O4)酸化鉄Ⅲ(Fe2O3)などになります。釘が酸化すると錆びるのも酸化です。リンゴが黄色くなるのも酸化です。

酸化は色素、香り(フレーバー)、脂質、アミノ酸などに起こりやすいです。

色素の酸化

色素が酸化すると色が落ちます。リンゴが黒っぽく変色するものや、エビが黒く変色するもの(黒変現象)も酸化です。

レモンを入れた水につけておくと変色を防ぐことができます。これはレモンに含まれるビタミンCが先に酸素と結びつくことでリンゴやエビが酸化しにくくなるという原理で、これが抗酸化作用です。

香りの酸化

香りはなくなったり、異臭を発したりします。

脂質の酸化

脂質は酸化すると脂質ヒドロペるオキシドが発生し、更に分解が進むと酸類、ケトン類、アルデヒド類、アルコール類などの二次酸化物が発生します。ここまでくると匂いや味に変化があり、風味も悪くなってしまいます。

アミノ酸の酸化

アミノ酸はシステインやメチオニンが酸化しやすく、悪臭や刺激が発生します。

酸化による食品への影響

酸化したからといって絶対に食べられないということではありません。食品によっても違いがあります。

例えば切った後少したって黒っぽくなってきたリンゴは普通に食べることができます。上記の脂質で説明したように酸化にも程度があり、酸化が進んだ食品は必ずしも安全とはいいがたい状態もあります。

他には肉が黒っぽくなってくることがあります。その程度なら大体食べても大丈夫ですが、表面の変化や嫌な臭い、酸っぱい臭いがしていたら注意しましょう。

酸化は単独で進むわけではありませんので、酸化がそこまで進んだ場合、特に肉などでは腐敗も始まっている場合が多いと思います。このようにその物質をよく観察する必要があります。

ペットフードの酸化

犬猫用ペットフードは肉が多く使われていますので脂質が多く含まれるため、脂質やアミノ酸、香り、色味の酸化が起こります。

通常使用の範囲ではそこまで酸化が進んだフードというのはなかなかありませんので、日常で意識することは少ないかもしれませんが、もしペットフードの酸化が進んだ場合は下痢や嘔吐、腹痛の原因になります。

問題になるほどの酸化が起こらなかったとしても、人にはわからない程度の香りや味の変化が犬猫は敏感に反応して食いつきに影響を起こしたりします。いずれにしてもペットフードにおいて酸化することは良いことではありません。

このため製造時でも脂肪分は真空の機械に入れられていたりと注意が払われ、製造後は速やかにパッケージングされます。

ドライフードは開封後も封をすればほとんど酸化しない

最近ペット栄養学会誌で興味深い演題が発表されました。

参考:キャットフードの保存方法の違いにおける脂質酸化の変化

これは保存方法の違いによってキャットドライフードの油脂がどのように酸化していくかを検証したものです。

  1. 販売時の既存の袋のまま封をしないもの
  2. 既存の袋の空け開け口をテープで止めたもの
  3. 既存の袋に脱酸素剤を入れて開け口をテープで止めたもの
  4. フードを既存の袋からチャック付き保存袋に移し替えたもの

上記に分けて2か月間保存し、酸価、過酸化物価、ヨウ素価の測定を行った。

酸価:1のみ21日後から酸価の値が上昇したが、2~4では値が変動しなかった。
過酸化物価:大きな変化はなかった。
ヨウ素:1~4のどれでも値に変化はなかった。

常識的に使用していれば酸化を気にしすぎる必要はない

結果として、開封済みのキャットフードの袋を「開けっ放し」にしていると酸価だけが21日以降に上昇しました。

つまり開封後でも酸素に触れる機会を減らしてあげれば一ヶ月程度の利用ではペットフードの酸化はほとんど変化がなく、酸化を気にしすぎる必要はないということです。

因みに4がチャック付きの袋ですので、1の状況は本当に開けっぱなしという状態です。現在の多くのペットフードはチャック付きであると思いますので、完全に開けっぱなしで保管される方はいないといっていいのではないでしょうか。開けっぱなしで保存していればそれは酸化が気になるのは当たり前と言えます。

よく一ヶ月で酸化するから食べなくなるといった話も散見されますが、主に以下が原因であると感じています。

酸化よりも香りが飛んでしまう

酸化よりも明確にわかる影響は開封回数が多くなることで「香り」が飛んでしまうことです。

開けたばかりのフードは香りが強いですが、毎日与えるために開封しているとどうしても香りが弱くなってしまい、これによって犬猫の食いつきが悪くなってしまいます。

おすすめの保存方法

空気に触れる量が重要ですので、袋内の空気をできるだけ抜くことで油脂の劣化を抑制することができます。

大袋の場合は小分けにして、できるだけ開封する機会を減らしてあげることがフードを酸化から守ることに繋がります。

この実験では開封後2ヶ月までの検査結果ですが、未開封の場合は一般的な保管環境であれば商品の品質は担保されています。

なぜ賞味期限があるの?

このように鮮度や腐敗という点ではほとんど変化が生じません。そうなるとなぜ賞味期限があるのかという疑問が生じると思います。

それは保管時間によって栄養素、特にビタミンの消失が大きく、賞味期限を超えた頃には総合栄養食に必要なビタミン量を下回ってしまうために賞味期限が設定されています。

単に総合栄養食の賞味期限を増やすだけならビタミンを多く添加することでクリアできる場合もあります。

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保管状況に問題がなければ賞味期限に優劣はない

保管状況が一定環境下であれば賞味期限内であればドライフードの質は担保されています。

ドライフードは製造時に水分量を10%以下に設定することが重要であり、それは品質保持に必要であるからです。

品質保持に注意を払いたい場合は以下に気を配ってみるとよいと思います。

  1. 袋がアルミなどの金属製の袋(アルミ蒸着の袋ではありません。アルミそのものの袋です。)を使用するか、酸素透過率・水蒸気透過率が低い袋を使用してパッキングしている商品を選ぶこと
  2. 未開封、開封後共に結露の元となるので冷蔵保管を行わず、かつ多湿ではない、冷暗所など一定環境下に保管すること
  3. 開封後は給与後に必ず封を閉めること
  4. 開封後の期間が長くなる場合には小袋に分けて開封回数を極力減らすこと
  5. 香りが飛ばないように意識すること

1はペットフードメーカーが考慮することですが、2~4はご家族様(飼い主の皆さん)が意識することで少しでも品質を保持することができます。

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